VPN(Virtual Private Network)は、インターネット上に仮想的な専用ネットワークが形成され、そこを通るデータは常に暗号化されるのでセキュリティ向上やプライバシーを保護できるサービスです。
また、ユーザーのIPアドレスを秘匿し、接続したVPNサーバーの国のIPアドレスに見せることができるため、海外限定コンテンツもジオブロックを回避しながら利用できます。
安全にインターネットを楽しむうえで必須ともいえるVPNですが、どのVPNを契約するか決めるときに必ず確認してほしいのが「ノーログポリシー」という言葉です。
ノーログポリシーはどういう意味で、どういった効果が期待できるのか、いまいちよく分からないという人もいるでしょう。
そこで本記事では、ノーログの意味や選ぶときのポイント、注意点を解説したうえで、おすすめのノーログVPNも紹介します。
「ノーログ」とはそもそもどういう意味?
VPNプロバイダには本来、大きく分けて3つのログが保存されます。
保存されるログ | 内容 |
ユーザー情報 | 氏名・パスワード・メールアドレス・住所・支払い情報といった個人情報 |
接続ログ | IPアドレス・通信データ量・VPN接続の終始時刻 |
使用ログ | 閲覧サイト・ダウンロードファイルなどの行動履歴 |
これらを保存するログ保存VPNは無料VPNに多く、暗号化のセキュリティレベルも低い可能性があります。
一方ノーログVPNは、上記の情報を保存しないため、情報漏えいやデバイスの乗っ取りといったリスクを軽減し、セキュリティレベルを高めてくれるのです。
プライバシー保護やジオブロックの回避もできるので、海外限定サービスの利用だけでなく、サブスクの節約にもおすすめできます。
おすすめのノーログVPN5選
信頼性の高い、おすすめのノーログVPNを5つ紹介します。
VPNサービス | ExpressVPN | NordVPN | Surfshark | CyberGhost | MillenVPN |
月額料金 | 6.67USD~12.95USD (約1,001円~約1,943円) | 500円〜2,110円 | 308円~2,308円 | 320円〜1,790円 | 396円~1,738円 |
返金保証 | 30日間 | 30日間 | 30日間 | 45日間 | 30日間 |
サーバー設置国 | 94カ国 | 60カ国 | 100カ国 | 93カ国 | 72カ国 |
サーバー数 | 3,000台以上 | 5,000台以上 | 3,200台以上 | 9,300台以上 | 1,300台以上 |
同時接続台数 | 8台 | 6台 | 無制限 | 7台 | 10台 |
セキュリティポリシー | ノーログポリシー | ノーログポリシー | ノーログポリシー | ノーログポリシー | ノーログポリシー |
公式サイト | ExpressVPN | NordVPN | Surfshark | CyberGhost | MillenVPN |
詳細記事 | ExpressVPNの評判 | NordVPNの評判 | Surfsharkの評判 | CyberGhostの評判 | MillenVPNの評判 |
ExpressVPN
ExpressVPNは、ノーログポリシーと明言している信頼できるVPNです。
ExpressVPNは以下を保存しないと明確に記載し、PwCやCURE53といった独立した監査機関に依頼することで、VPNサーバーがノーログポリシーであることを証明しています。
- IPアドレス(ソースまたはVPN)
- 閲覧履歴
- トラフィックの行き先またはメタデータ
- DNSクエリ
以下のログを収集しているものの、それらはサポート改善のためであり、個人を特定できるような情報ではありません。
- アプリとアプリのバージョン
- VPNに接続した日付、場所、国のサーバー
- 転送データの総量
ExpressVPNは月額換算1,001円からと少し高めですが、通信も高速で安定しています。
プライベートだけでなく、社外で機密情報の送受信をするときや、在宅ワークなどのビジネス利用にもおすすめです。
ExpressVPNの詳細は、こちらのページで解説しています。
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NordVPN
NordVPNは、業界初の独立監査を実施したVPNです。
約2年ごとに第三者機関に監査依頼をしてノーログポリシーを実証し、ユーザーのプライバシー保護に努めています。
通信も安定し、サーバーによっては通信速度が500Mbpsを超える場合もあるので、ストレスなく利用できます。
操作性も高く、月額500円からと手頃な価格なため、総合的にバランスの良いVPNです。
NordVPNの詳細は、こちらのページで解説しています。
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Surfshark
Surfsharkは、コスパとノーログを兼ね備えるVPNです。
VPN接続中は通信を継続するために必要なデータを保持しますが、VPN切断後は下記の情報を保存しないと明言しています。
- IPアドレス
- 閲覧履歴
- 使用した帯域幅
- セッション情報
- ネットワークトラフィック
- 接続の時間と機関
また、サービス向上のために、アプリの使用頻度や接続失敗回数などの情報を保存していますが、いずれも匿名性のある情報です。
長期契約では月額301円からと低価格で、デバイスの同時接続台数が無制限なので、家族での利用やデバイスを複数利用している人におすすめできます。
通信は状況によって不安定になるケースがあるため、事前に使い心地をチェックしてから利用しましょう。
Surfsharkの詳細は、こちらの記事で解説しています。
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CyberGhost
CyberGhostは、ノーログを証明するレポートを年に4回発行しているVPNです。
2011年から業界初の透明性レポートを四半期ごとに発行し、開示を求める警察からの要請件数や、悪質なユーザーの行動などを記載しています。
また、4大監査法人のDeloitteに独立監査を依頼し、ユーザー情報を保存していないことも証明されました。
月額320円からとリーズナブルで、返金保証期間が最大45日間あるので、通信速度や安定性をじっくり確認できるのも人気の理由の一つです。
CyberGhostの詳細は、こちらの記事で解説しています。
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MillenVPN
MillenVPNは、日本のアズポケット株式会社が運営している、安心感の強いVPNです。
MillenVPNもノーログポリシーを掲げ、ユーザーのプライバシー保護のために下記の情報を保存しないと明言しています。
- VPNサーバーに接続した接続元のIPアドレス
- タイムスタンプ
- DNSクエリ
- 通信内容
- 閲覧履歴
ただし、これらはすべてVPNに関するもので、決済やサービスの品質保持のために最低限の情報は保存されます。
- クレジットカード情報(Stripeが保持し、MillenVPNでは保持しない)
- 契約時のIPアドレス
- VPNサーバーの接続国
- 転送通信量の合計
- 利用しているアプリのバージョン
設置しているサーバーは72ヶ国に1,300台と少なめですが、デバイスの同時接続台数が10台までと、他社よりも多めなのがメリットの一つです。
月額396円から利用でき、日本の動画配信サービスのほとんどに対応しているため、旅行や出張で海外に行く頻度が高い人におすすめできます。
MillenVPNの詳細はこちらの記事で解説しています。
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ノーログVPNの注意点
ノーログVPNには、押さえておくべき注意点が3つあります。
ノーログと謳いつつ情報収集しているサービスもある
ノーログポリシーを掲げているVPNは本来、ユーザーの情報を収集することはありません。
情報収集する場合は「何の目的で」「どの情報」を収集するか、明確に記載しています。
しかし、ノーログポリシーを掲げていても、第三者にデータを売るためにユーザー情報や行動ログなどを収集している、悪質なVPNサービスが存在することも事実です。
このような行動は、ユーザーを危険にさらす行為となり、プライバシーの侵害にもつながりかねません。
本当にノーログVPNなのか、ノーログを掲げていても何かの情報を保存しているのかを、利用規約や第三者機関による監査結果などで確認することが大切です。
情報を一時的に保存している可能性がある
VPNサービスの運営元がノーログポリシーを掲げていても、一部の情報が保存されている可能性があります。
運営元がノーログポリシーと主張してしまえば、ユーザーは確認しようがありません。
実際にノーログを掲げながら、ある大手VPN会社に残っていたログが証拠になり、事件が解決したというケースがあります。
本当にログを保存しない、信頼できる企業かどうかを見極める必要があるのです。
状況によっては運営元が情報を開示する可能性がある
一切のログを保存していないVPNでは情報開示ができませんが、一部ログを保存しているVPNを使った場合、状況によっては運営元が情報を開示する可能性があります。
たとえば、ノーログVPNを使って犯罪行為や違法ダウンロードといった悪用をしたときが挙げられます。
普段のなにげない行動で、開示請求につながってしまうケースもあるので、常日頃から気をつけて利用することが大切です。
ノーログVPNを選ぶときに比較すべきポイント
どのノーログVPNが良いか迷ったときは、次の3つのポイントを比較すると、自身に合うVPNを契約しやすいです。
独立監査を受けているか
第三者からの独立した監査組織による監査を受け、ノーログの実証が実証されているVPNは信頼性がかなり高いです。
自社組織内で監査を完結したり、利害関係者同士での監査は信憑性が薄く、あまり信用できません。
しかし、本記事で紹介したExpressVPNやNordVPNなどのVPNは、VPNが情報を収集しない設計になっているかどうかを独立監査によりチェックしています。
また、セキュリティやプライバシーの監査も実施しているため、ユーザーの安全性も確保しています。
どのVPNにするか悩んでいる人は、まずはノーログポリシーの正当性を証明できるVPNを選ぶと良いでしょう。
運営会社がアメリカ・EUに該当しないか
アメリカやEUは「5eyes」「9eyes」「14eyes」と呼ばれる、国際的な情報共有同盟に所属しています。
これは、国の安全保障を保護するため、インターネット利用者のオンライン活動を監視・共有することを意味しています。
同盟名 | 国名 |
5eyes | アメリカ・イギリス・カナダ・オーストラリア・ニュージーランド |
9eyes | 5eyes同盟国+フランス・デンマーク・オランダ・ノルウェー |
14eyes | 9eyes同盟国+ドイツ・スペイン・イタリア・ベルギー |
もちろん、VPNを接続してインターネットを利用するたびに情報が共有されて開示されるわけではありません。
VPNをデバイスのセキュリティ強化やジオブロック回避といった、一般的な利用に使う分には情報が開示されるケースはなく、犯罪行為に使用したときに限ります。
どうしてもログ保存がないVPNが良いという人は、VPNの運営会社が5eyesなどに該当する国ではないかを確認してから契約しましょう。
通信速度や操作性に問題がないか
VPNは、環境・接続した時間帯・接続サーバーによって通信速度や安定性が大きく異なり、運営会社によって操作性も直感的にできるものから複雑なものまで、サービスによってさまざまです。
また、サーバーが接続したい国に設置されているのか、サポートが日本語に対応しているのかなど、求めているVPNかどうかを念入りに判断すると良いでしょう。
返金保証制度のあるVPNなら、実際に使って確かめることが可能です。
契約してから「失敗した」とならないよう、自身に合うVPNを慎重に選びましょう。
ノーログVPNに関するよくある質問
ノーログVPNを利用するときによくある質問をまとめました。
- ノーログVPNのメリットは?
-
ノーログVPNは、個人情報や行動履歴などを保存しないため、セキュリティレベルが向上するのが大きなメリットです。
そのため、情報漏えいのリスクを大幅に軽減でき、プライバシーの保護にもつながるので、安全にインターネットを楽しめます。
- ノーログVPNを使えば警察に身元特定されない?
-
SNSで誹謗中傷したり、犯罪行為をアップロードしたりしても、ノーログVPNを使っての行為であれば身元特定は難しいでしょう。
ただし、それは徹底していればの話で、ノーログVPNを使っていても身元特定されるケースはあります。
たとえば、アカウントを作った際の登録メールアドレスへのログイン記録や、誹謗中傷に使用したアカウントにノーログVPNを接続しないでログインした場合などです。
また、ネットカフェの防犯カメラの映像で特定されるケースも挙げられます。
普段のなにげない行動や心ない発言が、身元特定や開示請求につながることもあるので、注意しましょう。
- 無料のノーログVPNでおすすめはある?
-
無料VPNはセキュリティレベルが低く、海外限定サービスがブロックされるケースがあります。
また、サーバー数が極端に少なく、十分な利用ができないことも多いため、あまりおすすめはしていません。
しかし、下記のVPNはノーログもしくは一部ノーログで利用できるので、比較的安心して使用できます。
いずれも有料プランがあるので、まずは使い心地を確かめたいという人にもおすすめです。
- 実際にノーログポリシーであることが証明された事例はある?
-
ノーログであることが証明されたVPNが、ExpressVPNとNordVPNです。
ExpressVPNは、2016年に起きたある事件により、ノーログが証明されました。
事件の容疑者がExpressVPNを利用していたために、捜査当局がサーバーを押収したところ、容疑者に結びつく情報が何一つ残っていなかったという事例です。
NordVPNは第三者からの独立機関監査により、保存ログが見つからなかったので、ノーログであることが証明されました。
まとめ:ノーログVPNで秘匿性を守りながらインターネットを楽しもう
本記事では、ノーログVPNの意味や選ぶときのポイント、注意点についてくわしく解説しました。
ノーログVPNはユーザー情報を保存せず、プライバシー保護・セキュリティ向上してくれるサービスです。
しかし、ノーログと謳いながらユーザーの情報を保存している悪質な業者も存在します。
信頼性の高い企業が運営しているのか、しっかり確認してから契約しなければなりません。
どのノーログVPNが良いか悩んでいる人は、本記事で紹介したおすすめのVPNから自身に合うものを探してみてください。
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