無料VPNは費用がかからず手軽に使える一方、セキュリティやサービス品質は有料より劣るため、利用には注意が必要です。
そこで本記事では、無料VPNと有料VPNの違いやおすすめの無料VPNをくわしく解説します。
無料VPNの危険性や活用シーンも紹介するので、無料VPNの活用方法で迷っている人は参考にしてみてください。
無料VPNと有料の違い
ここでは、6つの観点で有料VPNと無料VPNの違いを解説します。
運営元の信頼性
有料VPNの場合、運営元が以下の情報を公開しているのが一般的です。
- 運営元の詳細情報
- VPNの仕様
- セキュリティポリシー
一方無料VPNの中には、これらの情報を一切公開していないケースがあります。
VPNはセキュリティの確保を目的として利用するケースが多いので、情報が未公開の運営元は情報漏えいなどのセキュリティリスクに不安が残ります。
またVPN Gateのように、不特定多数がVPNサーバを提供している場合も注意が必要です。
このケースでは、悪意あるユーザーがVPNサーバーを設置している可能性を否定できないので、情報漏えいのリスクが高まります。
運営元の情報とサービス内容の信頼性は、利用前に公式サイトの規約やセキュリティポリシーをチェックしておくことが重要です。
通信の速度と安定性
無料VPNは有料VPNよりも通信速度が遅く、接続が安定しないケースが多いです。
通信品質が悪いと動画配信サービスや大容量データの送受信で遅延や通信の中断が発生し、目的のサービスを満足に利用できない可能性が高いです。
そのため、VPNをつないだときに十分な通信速度と安定性を確保できるかどうかを実際に試して確認しましょう。
また、有料版にアップグレードできる無料VPNでは、1ヶ月の通信量を制限している場合があります。
通信量に制限があると数週間足らずで利用できなくなる可能性もあるので、利用目的に沿った通信量を確保できるかどうかのチェックも重要です。
セキュリティ機能の充実さ
完全無料のVPNは有料VPNと異なり、セキュリティ機能が不十分なサービスが多いです。
- 通信データの暗号化レベル
- キルスイッチの実装(VPNサーバとの接続が切れたときにインターネットアクセスを遮断する機能)
- DNSリークがの対策(DNSサーバから接続先の情報が流出する欠陥への対策)
どこの誰が提供しているのか不明なVPNの場合はとくに、専用アプリに脆弱性が残っていたり、VPNの仕組みを悪意あるユーザーに解析されたりするリスクが潜んでいます。
そのようなVPNでは、知らぬ間に通信データの盗聴やVPNサービスのアカウントを乗っ取られる可能性があるため、利用を控えるのがおすすめです。
サーバー設置国・設置台数の豊富さ
有料VPNでは数十ヶ国に数千台以上のサーバーが設置されているのが一般的ですが、無料VPNでは多くても10ヶ国程度で、サーバー数も100台以下に限られているケースがあります。
サーバー設置国やサーバー設置台数が少ないと、接続が不安定なときなどの代替サーバーに切り替えられないうえ、目的の地域限定サービスを利用できない可能性があります。
また、接続サーバーを自由に選べないケースもあるので注意が必要です。
さまざまなサービスの利用を前提としている場合、サーバー設置国・設置台数の豊富さもチェックするのが安全です。
ノーログポリシーの有無
VPNサーバーに接続ログが残ると、情報漏えいの危険性が高まります。
有料VPNでは接続ログを残さないノーログポリシーを明言しているサービスが多い一方、無料VPNではノーログポリシーを採用していないことが多いです。
クレジットカードなどの個人情報の登録が必要なサービスでは、ノーログポリシーを採用していないVPNの利用はおすすめできません。
接続ログを残す無料VPNを利用する場合、情報漏えいのリスクを考える必要のないサービスなどに利用を限定するのがいいでしょう。
専用アプリの有無
有料VPNがスムーズに利用できる専用アプリを提供している一方、無料VPNの多くが専用アプリを提供していません。
専用アプリがなければ、さまざまなデバイスの利用に応じて設定を手動で行う必要があり、VPNやネットワークの知識がないと正しく設定できない可能性があります。
利便性の観点をふまえ、専用アプリが提供されているかどうかをチェックするのがおすすめです。
無料VPNの危険性と問題ないシーン
ここでは、無料VPNに潜むセキュリティリスクと利用しても問題ないシーンを解説します。
また、安全性の高いおすすめの有料VPNも2つ紹介するので、VPNの検討候補にくわえてみてください。
無料VPNに潜むセキュリティの危険性
無料VPNには、以下のセキュリティリスクがあることを頭に入れておいてください。
- 通信データの盗聴・改ざん
- 個人情報や機密情報の流出
- 利用デバイスのハッキング
このようなセキュリティリスクを抱えている無料VPNは、多くのサービスで利用できないよう遮断しているケースが多いです。
利用できたとしても、本来秘匿されるべき情報が流出すれば、インターネットを安全に利用できなくなったり、ビジネスシーンで社会的信用を失墜する可能性があります。
次で説明する利用シーンに限定するなど、無料VPNの利用は慎重に行いましょう。
無料VPNでも問題のない利用シーン
セキュリティリスクのある無料VPNでも、以下のような利用シーンに限定すれば問題ありません。
- 個人情報などの登録が不要なサービス
- 重要性の低いデータの送受信
重要な点は「外部に流出してはいけないデータの送受信が必要か」です。
個人情報や機密情報など重要データの送受信が必要なシーンでは、セキュリティの万全な有料VPNの利用がおすすめです。
安全性を重視するなら有料VPNがおすすめ
ここではセキュリティと通信品質で優秀なVPNを2つ紹介するので、安全性を重視するケースでの利用候補として検討してみてください。
VPNサービス | ExpressVPN | NordVPN |
月額料金 | 6.67USD~12.95USD (約1,001円~約1,943円) | 500円〜2,110円 |
返金保証 | 30日間 | 30日間 |
サーバー設置国 | 94カ国 | 60カ国 |
サーバー数 | 3,000台以上 | 5,000台以上 |
同時接続台数 | 8台 | 6台 |
セキュリティポリシー | ノーログポリシー | ノーログポリシー |
詳細記事 | ExpressVPNの評判 | NordVPNの評判 |
ExpressVPN
ExpressVPNは、通信の安定性に加え安全性の高さで好評なVPNです。
安定して200Mbpsを超える速度が出るので、音楽・動画配信サービスで途中で切れたり、動画がカクついたりする心配はありません。
環境によっては500Mbpsを超える速度が出るケースもあり、データ容量を頻繁に利用するシーンでも活躍します。
また通信の暗号化方式は、アメリカ政府と同じ規格「AES-256」を採用しているので安全性が高く、第三者による覗き見や悪用を防止できるため、ビジネスシーンでも安心です。
高品質なサービスを提供している分、月額料金は1,001円と高めですが、3ヶ月分無料になる12ヶ月プランを選んで多様なシーンで活用するのがおすすめです。
ExpressVPNの詳細は、こちらのページで解説しています。
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NordVPN
NordVPNもExpressVPN 同様に、通信品質の高さで好評なVPNです。
環境によっては速度が500Mbpsを超えるうえ、時間帯を問わず安定した接続を維持できるので、さまざまなサービスをストレスなく楽しめます。
NetflixやAmazonプライムなど、対応しているストリーミングサービスが豊富な点も好材料のひとつです。
さらに、マルウェアや悪質な広告を対策する機能やデータ漏えいを防止するキルスイッチ機能など、セキュリティ対策も十分なので、ビジネスシーンでも安心して利用できます。
ExpressVPNよりもコストを抑えたい人は、月額500円から利用できるNordVPNを検討するといいでしょう。
NordVPNの詳細は、こちらのページで解説しています。
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おすすめの無料VPN4選
利用シーンの限定を前提とし、おすすめの無料VPNを4つ紹介します。
VPNサービス | VPN Gate | Proton VPN | TunnelBear | Windscribe |
月額料金 | 無料 | Free:無料 ※Plus:3.59~9.99USD | Free:無料 ※Unlimited:3.33~9.99USD | Free:無料 ※Unlimited:5.75~9.00USD |
返金保証 | - | Free:- ※Plus:30日間 | Free:- ※Unlimited:なし | Free:- ※Pro:なし |
サーバー設置国 | 20ヶ国 | Free:3ヶ国 ※Plus:65ヶ国以上 | 47ヶ国 | Free:11ヶ国 ※Pro:69ヶ国 |
サーバー数 | 7,000台以上 | Free:100台以上 ※Plus:1,900台以上 | Free:非公開 ※Unlimited:5,000台以上 | 非公開 |
同時接続台数 | 8台 | Free:1台 ※Plus:10台 | 無制限 | 無制限 |
セキュリティポリシー | ログあり | ノーログポリシー | ノーログポリシー | ノーログポリシー |
VPN Gate(筑波大学が運営)
無料VPNの中でも速度が比較的安定しているのがVPN Gateです。
公式サイトで各VPNサーバーの接続数・通信速度・遅延状況・ログ記録ポリシーを公開するなど、無料VPNのなかでも積極的にサービス情報を公開しています。
有料VPNの専用アプリに比べると設定や使用方法はわかりづらいですが、デバイス別の接続方法を画像つきでくわしく解説しているので安心です。
ただし接続ログは記録されるうえ、VPNサーバーは不特定多数が運営している点に注意が必要です。
個人情報や機密情報のデータ送受信が必要なケースでの利用は避け、韓国SBSなど地域制限のある無料サービスの利用に限定しましょう。
Proton VPN(ノーログポリシーあり)
Proton VPNは、有料サービスにアップグレード可能でノーログポリシーも採用している無料VPNサービスです。
無料版では接続先のサーバが限られ、現時点ではアメリカ・オランダ・日本の3ヶ国に設置されている約100台のみ利用可能です。
セキュリティポリシーは有料版と同等でノーログポリシーなので、機密情報や個人情報を送受信する目的でも安心して利用できるのがメリットです。
実際に利用してみるとTVerなどの動画配信サービスの利用は問題ないものの、通信環境によっては上り・下りの通信速度が10~20Mbps程度の場合もあるため、大容量のデータ送受信が必要なシーンでは向いていません。
デメリットは、無料版の同時接続台数が1台のみな点と公式サイトや専用アプリが日本語に対応していない点です。
同時接続台数や接続できる国を増やしたければ有料版へのアップグレードを検討し、英語に不慣れで日本語対応にこだわるならExpressVPNに乗り換えるのがおすすめです。
Proton VPNの詳細は、こちらのページで解説しています。
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TunnelBear(ノーログポリシーあり)
TunnelBearもノーログポリシーを採用し、有料版にくわえ無料版も提供しています。
無料版も有料版と同じく47ヶ国に接続できるので、さまざまな地域限定サービスを利用できますが、国に設置されたサーバーを自由に選べない点に注意が必要です。
また、居住地から近いサーバーに接続すると、上り下りともに70Mbps前後の速度が出るケースもある一方、アメリカやブラジルなど離れた地域に接続するとスピードテストで計測できないほど速度が遅くなるケースもあります。
さらに無料版では1ヶ月の通信使用料が2GBまでに限定されています。
動画配信サービスの利用や居住国のサービスを一時的に利用する分には問題ありませんが、大容量データの送受信や離れた地域の限定サービスの利用には向いていません。
Proton VPN同様に、公式サイトや専用アプリが日本語に対応していない点を不自由に感じる人もいるでしょう。
さまざまな地域のサービスを十分に楽しむなら有料版にアップグレードするか、ExpressVPNやNordVPNを利用するのがおすすめです。
Windscribe(ノーログポリシーあり)
Windscribeも、無料版でノーログポリシーを採用している点でおすすめのVPNです。
無料版で接続できる国は以下の11ヶ国ですが、有料版にアップグレードしなければ接続できないサーバーもあるので注意が必要です。
- アメリカ
- カナダ
- イギリス
- 香港
- フランス
- ドイツ
- オランダ
- スイス
- ノルウェー
- ルーマニア
- トルコ
実際に日本から利用してみると、無料版の接続先が離れていることもあり、接続が不安定なケースが多いです。
専用アプリも日本語未対応で使い勝手が悪く、接続がうまくいかない場合の設定変更にVPNやネットワークの知識が多少必要なので初心者には向いていません。
またTunnelBear同様に、30日間の通信データ容量は2GBまでに制限されている点も注意が必要です。
欧米在住者には向いているかもしれませんが、日本から利用するなら有料版にアップグレードしたほうがいいでしょう。
無料VPNに関するよくある質問
無料VPNに関してよくある質問をまとめてみました。
- 完全無料のVPNでおすすめはどれ?
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筑波大学が運営するVPN Gateがおすすめです。
サービス内容が公式サイトで詳細に公開され、無料VPNのなかでも通信速度は比較的安定しています。
ただし、接続ログが残る点と不特定多数がサーバーを運営している点を考慮し、重要データの送受信での利用は控えましょう。
- 無料のVPNネコは安全?
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VPNネコは運営元やサービス内容の詳細が公開されていないため、安全に利用できるかどうか不安なVPNです。
無料VPNを利用するなら、情報をしっかり公開しているVPN Gateか、有料版と同等レベルのサービスを提供しているProton VPNをおすすめします。
- 無料のVPNでNetflixや韓国SBSは視聴できますか?
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セキュリティリスクのある無料VPNは、Netflixや韓国SBSなどのサービス側で接続が遮断されるケースが多いです。
無料VPNのなかでも信頼性が比較的高いVPN Gateはおすすめですが、サービス側の判断で遮断対象になるリスクをはらんでいる点に留意してください。
- 無料のVPNは中国で利用できますか?
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無料VPNは中国の法律で禁止されているので、有料のExpressVPNやNordVPNを利用してください。
中国でおすすめのVPNはこちらの記事でくわしく紹介しているので、参考にしてみてください。
中国で使えるおすすめのVPNは?特徴と選ぶポイントも解説 規制の厳しい中国でインターネットを利用するには、VPN(Virtual Private Network)が不可欠です。 ただし、あらゆるVPNを中国で利用できるわけではないので、中国でも…
まとめ:安全性を重視するなら無料VPNより有料
本記事では、以下の観点で無料VPNを解説しました。
情報漏えいのリスクがあり、通信品質も不安定な無料VPNは、利用シーンを限定する必要があります。
個人情報など、重要なデータの送受信が必要なケースでは利用を避けましょう。
利用シーンの限定を前提としたおすすめの無料VPNは、以下から選んでみてください。
ただし、さまざまなシーンでストレスなく安全に利用するなら、サービスが充実している有料のExpressVPNやNordVPNを利用するのがおすすめです。
1年以上の長期契約であれば、500円から高速で安全なVPNを利用できるので、これを機会に検討してみてください。
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